門  松

新年を祝って、家の門口などに飾られる「門松」は、 門松@ その年の神さまをお招きするための目印で、神さまがお降りになったときに宿られる場所(依代(よりしろ))を表すものでもあります。もともとは、松・杉・椎(しい)・榊(さかき)といった常緑樹を用いていたようですが、いつからか主として松を用いるようになり、門松と呼ばれるようになりました。また、後には「松竹立てて門毎に祝う今日こそ楽しけれ」とお正月の歌に歌われているよう、竹と松が主流になってきました。現在の門松は、竹三本を松で囲み、荒縄で結んだ形が一般的ですが、地方によってまちまちな門松が作られています。牛山町にも牛山特有の伝統的な門松がありましたが1945年(終戦の年)頃を境に次第に作られなくなり、今日では殆ど見られなくなってしまいました。
写真は、牛山町の郷中で作られていた門松です。郷中には古くから住んでいる家が38戸がありましたが、この38戸の中でも門松の種類は、
門松B @松と竹の門松(写真上)
背丈3メートル程の竹を立て、基に松の枝を副えた物。
(家によっては、松竹の他に大豆の空枝を副えることもある。)
A松と竹と梅の門松
@に梅の枝を副えたもの
B松だけの門松(写真下右、写真下左は拡大写真)
松だけのもので、基に裏白を副え、注連縄が巻かれています。
の3種類あります。そして家毎に少しづつ飾り方や飾り物が異なっていたそうです。例えば、@Aの門松の 門松B拡大 飾り物は、「注連縄」を用いる家と「かっこうかかさ」を用いる家があり、また、基に千両を副える家もあります。神さまをお招きする目印ですから異なっていた方が分かり易いのかも知れません。
【門松の作り方】
 古から私の家で作られてきた門松(上記@)の作り方を記述してみます。
[T]準備する物
@藁 ・・・ 1束
A竹 ・・・ 高さ2m〜3mの物2本(根本から切ったものをそのまま使う)
B松 ・・・ 高さ40cm〜50cmの枝が3本に分かれた物2本
C杭 ・・・ 長さ50cmの松の幹を割ったもの2本
Dたづくり ・・・ 6尾
E砂 ・・・ 少し
F黒豆・・・ 6粒
[U]作り方
松 @玄関、または門の前の門松を立てる場所に松の木を割って作った杭を打ち込みます。 枝の付いた竹をそのまま使いますから、間を人が通れるように間隔は広めに取った方がよいでしょう。また、杭は地上に20センチ程出るようにします。
A杭に松と竹を縛り付けます。松と竹は、藁で綯った縄で、杭の下、中央、上の三ヶ所を枝折節(しおりぶし)結びで縛り付けます。
B藁で養(やす)を作り、これを竹に縛り付けます。縛り付ける高さも、いろいろ仕来りがあやす るかも知れませんが、肩の高さ位が適当でしょう。
「養(やす)」の作り方については、やや複雑ですので、項を改めて記述しようと思っています。
C「養(やす)」の頭に田作りを3尾挿します。 D最後に、門松の基に砂を形良く盛ります。
E基の砂の上に黒豆を3粒づつ撒きます。
以上で門松は出来上がりですが、門松を作らなくなって久しく、正しい作り方が伝承されていない現在、こういう風に作ったという程度のことでしかありません。
ところで、大多数の所では門松として松を使いますが、これは子孫繁栄を願ってのことです。アカマツやクロマツは2枚の葉が一つのほうに収まっています。家の中に夫婦が仲むつまじく暮らしていれば、繁栄するという縁起です。従って五葉松などを門松としているところはないのではないでしょうか。

2002/10/15
「牛山なんでも事典」より
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