議発第17号   消費税増税に反対する意見書の提出について

(2003年12月18日)八幡町議会

 

細川孝弥議長:日程17、議発第17号「消費税増税に反対する意見書の提出について」を議題とします。事務局より朗読いたします。

 

羽田野利郎議会事務局長:(朗読)

 

議発第17号   消費税増税に反対する意見書の提出について
表記について、地方自治法第99条及び八幡町議会会議規則第14条の規定に基づき、別紙意見書を提出する。
平成15年12月18日    提案者 八幡町議会議員 川上朝史

                       八幡町議会議員 服部政子

                       八幡町議会議員 野田龍雄
八幡町議会議長 細川孝弥 様
                                  
                       消費税増税に反対する意見書() 

 長引く不況は私たち国民生活に深刻な苦痛を与えています。倒産やリストラの進行は若者や中高年層の働く場も奪い、商店や零細企業ではやりくりが大変で、出口のない不安感を益々深めています。経済や雇用の低迷する中
,相次いで年金や医療制度の改悪など福祉し施策の後退が続き、国民はますます家計を引き締めざるを得ず、景気は一層低迷の度を強めています。福祉のためといわれた消費税ですが、まさに福祉の充実とは無縁であったことを明らかにしています。しかし、この消費税の引き上げを誘導するかのような発言が相次いでおり,国民の不安を一層高めています。日本経団連の唱える消費税率引き上げの理由は「社会保障財源の確保」です。この主張のねらいは、企業の負担を軽減することにあります。政府税調の引き上げを検討することにしており、小泉首相も「論議することは必要」と述べています。
 このような深刻な景気の現状があるのに、政府は2004年に小売店の免税点を3000万円から1000万円に引き下げようとしています。免税業者の多くが消費税に転嫁できない身銭を切っているのが現実です。消費税増税が景気を一層冷え込ませ、国民生活を困難にすることはこれまでの経過から明らかです。したがって下記事項について国に強く要請します。

                     記

1 消費税の増税を行わないこと

2 免税点の引き下げを行わないこと

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年12月18日    岐阜県郡上郡八幡町議会
内閣総理大臣様
財務大臣様

細川孝弥議長:提出者の説明を求めます。川上朝史君。
川上朝史議員:2番、川上朝史です。消費税の増税に反対する意見書について説明します。
 二つございまして、一つは消費税の増税を行わないこと、もう一つが免税点の引下げを行わないこと、この二つでございます。
 最初の消費税の増税を行わないことについて意見を述べます。この税金というものは公平に課せられなければならない、というのが原則であります。消費税はこれは買った人がその場で消費税を払うわけですが、これはお金持ちでもお金持ちでない人でも同じ物を買うわけですから金額は同じなわけで大変公平なように見えるわけなのですけれども、そうではないということを一つお話します。今は生活必需品とか、そういうどうしても必要なものにも、何もかもに税金が掛かっております。欧米の国々によっては食料品には非課税ですとか医療には非課税ですとか教育には非課税とかいろいろありますが、日本の場合はあらゆるものに税金が掛かっております。それで、その人たちが収入に対して支払う消費税の負担率を見ますと収入の少ない人については非常に負担率が大きくなっております。それから収入の多い方については総収入が多いわけですからこの負担率が低いわけです。現在、消費税率は5%なんですけれども、その負担率の差というものは、今は2.8%と言われております。ところがこれが将来、財界では16%(18%)まで引き上げたいと言っております。そうしますと、その差というものが益々開いていきまして、今の2.8%が9%にまで差が広がってくるという計算が出来ます。これは非常に公平であるはずの消費税というものが公平ではないと、そういう一面を表して来るということがわかります。
 それから、(消費税は)国民生活を低下させて景気の悪化を招くという点でございます。現在も国民の消費支出というものが占める割合は景気の動向に大きく作用するわけですけれども、その国民消費を押さえつける働きをしております。現在5%ですが、これが、3%から5%になった時もそうでした、せっかく景気が上向きかけていたのが5%に上がることによって日本の経済が非常に冷や水をかけられたような形で低迷をして、以来、なかなか(景気は)上向いてきておりません。そういう景気の悪化を招く、こういうこともあるわけです。
 それから、社会福祉のために使うということで導入されたわけなんですけれども、消費税が導入されましてから14年間の税収の累計は136兆円ございました。ところが、全く似た数字がございます。それは法人税でございます。法人税が累計で14年間に131兆円減っております。消費税の税収の累計が136兆円に対して法人税(の税収)の累計は131兆円減っております。景気の低迷という事ももちろんございますけれども、こういう同じような数字が出ておるということは本来は社会福祉に回すということであったわけですけれども、結局は企業の法人税の減少を補ったという形になっております。

 もう一つ、国税の収入に占める比率についてもこういうデーターが出ております。日本の消費税率)は現在、国税は4%です。地方税が1%、計5%で消費税を皆さんの財布の中で納めております。日本の場合と外国の場合が出ておりますので少しご紹介しますと、現在、日本の消費税率は4%でございますが、この国税全体に占める割合は22.7%となっております。4分の1弱が消費税によって賄われることになっております。ところがイギリスは消費税率が17.5%、非常に、日本の4倍も高いわけですけれども、このイギリス全体の国税に占める割合は22.3%。日本の22.7%と全く同じ、ほぼ同じでございます。イタリアについても少し見ますと、イタリア(の消費税率)は日本の4%に比べまして、なんと20%の消費税が掛かっております。ところがこのイタリアの場合におきましても国税全体の中における消費税の収入比率は22.3%でございます。日本より低いのです。4%の日本より低いわけです。なぜ、こんなことになるかといいますと、日本はあらゆるものに税金が掛かる、この消費税はあらゆるものに税金が掛かる、食べ物から、土地以外のものには殆ど掛かる、そういったことによるものです。今度はこれを7%に上げるとか、将来は10%に上げるということを経済界の経団連などの首脳の方も言われておりますけれども、これ以上に負担が増えるということは、今言いましたように、税の公平であるべき、という点でも公平を欠くようになってきますし、国民生活を低下させて景気を悪化させる、そういったことに繋がってくるということで、これ以上の税率の上昇を目論むということは非常に無理があると、こういうふうに思っております。
 それからもう一つの、二点目の免税点の引下げを行わないということでございますけれども、現在は3000万円でございます。わたしも商売をしておりますけれども、税込みで3000万をかつかつに超えたことがありまして、課税業者になるようにという通知が来ておりました。前は税抜きで3000万ということでありましたので、出さなくてもいいのかと思いましたら、今は税込みで3000万ということで出してくださいということで出しました。ところが、今度は売り上げ高3000万を1000万に引き下げるというものでございます。今新町では総額100万円の景品があたる歳末売出しをしておりますし、さつきカードの加盟店の方々は、私も会員の一人ですけども、12月には高速道路を走る時に自動的に料金を計算してくれるETCElectric Toll Collection)の装置が景品になっておりますし、正月のイベントとしては商品券がたくさん当る、2月には芋焼酎とか麦焼酎とか、新酒、新しいお酒が当るといったいろんな、少しでも町内で買物をしてもらいたいということで色んな企画をいたしまして頑張っておるわけですけれども、今回消費税の免税点が3000万円から1000万円に引き下げられるということで、今こうして頑張っておられる八幡町の商店街の方々は殆どがこの対象になります。こういった方の営業を益々苦しめるということになります。十数年前に比べますと、私の大手町もそうですけれども、本町にしても、橋本町いろいろ町内を見てますと町内が歯抜けになってきておりますが、それでも今そうした形で売出しなどで頑張っておりますが、今度の免税点の引下げは大きな、大きなといいますか致命的な打撃を八幡町の商工業者に与える、これはもう間違いありません。そして4月からは総額表示方式がとられますので、今まで1050円とか、あとから外税方式で課税されていたものが1050円と総額で表示されるようになります。これについてはどのお店でもそうですけれども、定価改訂を、すべての商品について定価を付け直すという作業ですとか、レジスターの設定を変えるとか、外税方式を内税方式に変えるとか、いろんな煩わしい仕事がございます。それよりも何よりも、会計を〆た時に消費税を計算しなければならない、それは売上げに対して105分の5を掛けて機械的に金額を出さなければならない。これが一番恐いわけです。これでは町内の業者達は本当に、さらに商売を続けることが困難になることが予想されております。以上、いろいろなことを踏まえまして消費税増税に反対し免税点の引下げを行わないようにと、そういう意見書を八幡町議会として採択していただくことを御願いして提案説明といたします。
細川孝弥議長:お諮りをいたします。本件につきましては質疑を省略し討論を行うことにご異議ございませんか。(異議なしの声)。異議なしと認めます。
本議案提出に反対の諸君の討論を求めます。上田謙市君。
上田謙市議員:はい、一番、上田。
「消費税増税に反対する意見書」の提出に反対の立場で討論をいたします。報道によりますと小泉首相は、消費税について論議することは必要と言いながら自分の在任中の3年間は上げる積りはない。容易に認めれば改革が進まないと、引き上げを否定しております。さて日本の人口比率で高齢化が進む今日、日本国民が健康で安心して暮らすために必要な医療や年金、介護などの社会保障関係費は増える一方であります。こうした財源の手当として広く薄く課税される消費税に目が向うのは自然の成行きであろうと考えます。しかしもし増税となりますと、私も商業を営んでおりますので、個人消費への影響を懸念いたしますし、消費者の一人でもありますので、決して歓迎はいたしませんが、国民が安心できる社会保障制度があってこそ国民の消費傾向が高まり景気にも良い影響を与えるのではないかと思います。税制改革のアンケート調査結果によりますと、ちょっと読み上げますが、「財務省は政府税調総会で税についての対話集会会場で実施した税制改革のアンケート調査結果を報告した。消費税率を将来二桁に引き上げることに対して54%の回答者が“やもうえない”とするなど税負担増に理解を示す内容であった」と。まあ、これは、政府税調が取ったアンケートですので多少割り引いて考えなければならないとは思いますけども、政府税調が今年の7月から8月にかけて全国4都市で対話集会を開き、参加した900名にアンケート調査をした。選択肢からその場で回答を選ぶ形式であったが、消費税率上げを巡る質問については回答者の54%が理解を示し、慎重は29%、他の税目の負担を増やすべきだが17%であったと、これは報道でありますが、結果もあります。又消費税の税率引き上げについての政党の考え方でありますが、与党に加えて野党の民主党も安易な引き上げには賛成しないが税率アップは必要なことであるという党の方針を明確にしております。先ほど川上議員から公平感という話がありましたし、物によっては税率を
(不明)てもというようなことがありましたけども、やはり私は5%という税率であるからゆえ税率が一律なのであって、将来、川上議員が懸念されるような高さになれば当然生鮮食料品とか、そうした日用品についてのというような税率の違いは出てくるのではないかというふうに思っております。そして外国との比較の中で、消費税が国の予算に占める割合をいわれましたけれども、私はその一つの理由としては、日本は所得税でも住民税でも課税最低限の違いがあると思います。例えば夫婦と子ども二人の場合、384万2千円ですけれども、イギリスは150万円ということで、おそらくイギリスの場合はそういった所得税あたりで徴収する金額が増えて来るのではというようなことやと思っております。それと次の事業者免税点の引下げについてでありますが、そのことについては消費税の税法の一部改正により既に決定していることであります。特に消費税法だけが改正されたのではありません。国税に関する制度全般の見直しの中で成立されたものでありまして、その理由について少し述べますと、「現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として国税に関する制度全般にわたり計画税制の真に有効な分野への集中、課税の適正化、簡素化、安定的な歳入構造の構築等の共通の視点に基づき・・・」云々ということですので、将来の日本を見据えての判断から、減税と増税のバランスを取った措置ということで私は止むを得ないことだったと考えております。又、今回の改正で、先ほど川上議員も指摘をされましたけれども、商品等の販売、役務の提供等の取引を行う際には、取引価格の表示には消費税額、これには地方消費税額も含めますけれども、この消費税額を含めた価格を表示することが義務づけられました。いわゆる内税での価格表示ということであります。そういう内税での価格表示ということになると販売先に転嫁できないということは私は解消されて課税事業者としての消費税を販売先から預かることができると思っています。そして、業種によっては簡易課税制度の適用を受ければ簡略に事務処理が出来ますので、これまで免税業者であった人が課税業者になると記帳等の煩雑さが生じるということも、それも事実でありますが、それほどの心配はないということを思います。特に意見書については、これまで定例会ごとに提出をされました。その中で私はこの文面の中で、ちょっと首を傾げたくなるなーというような所もあります。例えば、先ほど川上議員も言われましたが「福祉のためといわれた消費税ですが」ということですけれども消費税は決して目的税ではありません。導入の折に考えられたことは、確かに福祉目的税にしたらというような論議もありましたが、これは目的税ではないと理解をしております。また「福祉の充実とは無縁であった」とありますけれども、先ほど言いました消費税は国税であります。地方消費税は地方税でありますが、この消費税の性質は、地方分権の推進、地域おこしの充実等のために地方税減の充実を図るということで導入されたものでありまして、当町においても、平成15年、今年ですが1億4千5百万が歳入になるということを聞いております。そういったことで、これは地方消費税交付金として入って来るものですけれども、そうしたことで回りまわって私たちの福祉のためにも使われておるということは、これは認識しなければならんことやと思っております。そして、この文面の表現ですが、「免税業者の多くが消費税を転嫁できなくて身銭を切っていると」いう表現ですけれども、私は確かに免税業者が仕入れ価格の一部として消費税を負担しているので、この負担分については販売価格に織り込んで販売先に転嫁する必要があると思っております。しかし事業者としては免税業者ですので消費税の納税義務はありません。ですから売上の中に利益を越えた付加価値としての消費税は含むことは出来ないのが免税業者でありますので、付加価値としての消費税を込めて売り上げるということになるといわゆる益税というものが生じる問題が出てくるのでありますので、この表現には多少といいますか、やや適正さを欠いて、消費税の仕組みというものに誤解を与えかねないのではないかということをかねがね思っております。そんな余計な心配事を思い添えながら「消費税増税に反対する意見書」の提出に反対をいたしますのでよろしく御願いします。

服部政子議員の賛成討論は後日、追加します。

※ 「消費税増税反対」は私が提案説明。上田謙市議員が反対討論。服部政子議員が賛成討論。否決。