(日本共産党)河合潔議員の討論 2007年12月21日
「30人以下少人数学級を求める意見書、および、義務教育国庫負担堅持を求める意見書の採択を求める陳情」についての委員長報告(不採択)に対する反対討論
この「陳情」についての、(不採択とした)委員長報告に対して、私は、「30人以下の学級編成が出来ればそれに越したことはない」と教育次長が説明していることを、まず、言いたいと思います。また、委員長は、
@ 市内10校、約30%ある30人以上の学級を持つ学校へは、加配や非常勤講師が配置され、特に少人数での学習が効果的
と思われる算数や国語はT・T(Team Teaching)で授業を進めるなど少人数指導を実施している、
A 当市の少子化傾向をみると、小学校入学児童の推定数は、
平成20年度 424人
平成25年度 336人(▲59人)
平成31年度 348人(▲17人) との二つの事実を報告なさいました。
委員長報告は、「いま7割が30人以下学級であり更に少子化が進み30人以下のクラスが増えていくと思われると」述べ、郡上市の実態から「30人以下の少人数学級の実現を求めて1学級の生徒数を減らすより、加配・非常勤講師を充実させて行き届いた教育を行うことが重要」との意見があり、委員会は陳情の趣旨に賛同せず本陳情を不採択とすることを全会一致で決定したとの報告です。
今後、国に対し加配教員と教育予算の充実を求める意見書の提出を目標に継続して調査を進めると報告されました。
何かおかしくはありませんか。
もう一つ、この陳情、「ゆきとどいた教育をすすめる岐阜県実行委員会」の陳情の理由をみますと、全国的には各都道府県の取り組みで、学級そのものを少人数にする「少人数学級」がたくさん実現しているそうです。
少人数学級は生活と学習に場である学級を少人数にするというものですが、ただ単に学級定員を減らすと言うことでなく、それに見合うさまざまな教育的な工夫の幅を大きくすることが出来るそうです。たとえば、いじめの早期発見など教育現場から少人数学級の効果が報告されているそうです。
これが陳情の主な理由ですが、郡上市は教育長の説明でも、30人以上の学級をもつ学校へ加配や非常勤講師を配置している。例えば38人や39人のクラスでは別に先生を配置しているとの説明です。加配や非常勤講師を県へ要求し予算措置をつけてもらい今やっているわけでしょう。例えば国が小学校2学年までを30人学級にすると決めて予算をつけると、県の現に2年生までやっている少人数学級に対する予算が3年生以上に振る向ける事が出来ることになるのです。
日本の学力が落ちていると統計調査で出ておりますが、国際的にみて、その国の教育予算の水準を示す「教育機関に対する公財政支出の対GDP比」をみると、日本はOECD(経済開発協力機構)30ヶ国中、最下位なのです。今、欧米は20人学級・30人学級なのに日本は40人学級なのです。全国では46都道府県で少人数学級が広がっていますが、皆さんがご存知のように地方交付税の削減がこれ以上の進展を困難にしているのが現状だそうです。
今ひとつ大変な問題は、教員の「多忙化」の問題です。40年前に政府が調査をし今回40年ぶりに政府が教員の実働実態調査を行いました。その結果、先生方の平均労働時間は厚生労働省が決めた過労死ライン(月残業80時間以上)を上回っていることが明らかになりました。
今ひとつは、先生の授業準備時間です。文科省の公式の基準で1時間の授業には1時間の準備となっているのに、平均3時間22分の授業をするのに58分の準備時間しか取れない事がはっきりしました。必要な時間の30%です。先生方は、「授業準備や一人一人の子どもに丁寧に接する時間がない」との事なのです。
いま、国に30人以下の少人数学級を求める意見書を出すべきであり郡上市の実態に照らしても現実に先生方のあり方を見ても、少人数学級でゆとりある授業をやって欲しいと思うのは私だけではないと思います。
そして今ひとつ、義務教育の国庫負担堅持についての意見書について、陳情書の理由によれば、かつて二分の一であった国の負担が現在三分の一に削減されたため、総額裁量制により、教職員の数が足りないため、非正規教員(講師)の増加をもたらしている。
また、不景気で親の負担も大変です。就学援助制度や高校生の授業料減免制度など、子どもの教育権を保障する諸制度をもっと充実するためにも国庫負担堅持の意見書を国に上げるべきと考えます。
以上、子どもの教育について真剣に考えれば考えるほど、この陳情を採択していただきたく不採択という委員長報告に反対するものであります。