2007年12月21日
(日本共産党)河合潔議員の討論
「後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める意見書」の採択を求める陳情について
《文教民生常任委員長報告に対する反対討論》
委員長報告は、この陳情の趣旨に賛同せず、国に対して「被保険者への制度の周知や保険料の軽減、窓口業務や保険料徴収の業務を行う市町村への支援を求める」意見書を作成し本会議に提出するとして、全会一致、本陳情を不採択とするといわれました。
審議される中で、健康福祉部長からの説明で、県市長会から国への三つの要望、また、県高齢者医療連合会から6月に2点、10月に1点の要望をし、この制度がよりよいものになるよう鋭意努力をしているとの説明があり、委員の中からも「70〜74才の窓口負担の1割から2割への引き上げは既に国において1年間の凍結となっている」などの意見があり「75歳以上の高齢者の多くが低所得者であり保険料の負担について危惧される」などの意見があったことも報告されました。
私はこの後期高齢者医療制度について6月・9月・12月の3回貴重な質問時間を割いて市長に対し問題点を質してまいりました。この制度の問題点は多々ありますが
@ 全ての高齢者から保険料をとること
A 払えない人には保険証を渡さないこと
B 高齢者の医療を包括払いとして医療に制限をつけること です。
与党の凍結案で凍結されてもすぐ元に戻ります。
抜本的には実施を中止し制度を撤回すべきです。
高知市老人クラブ連合会の会長さんの話を紹介します。
「小さい頃、『お年寄りを大切に』と言われて育ちました。『おじい、おばあ』に、いいものを食べさせたいというのが人間の本質的な思い、社会の道徳です。年寄りがわがままを言っているのではありません。せめて、今より悪くするなと言っているのです。
国は一方で、米軍にタダで給油し、防衛省も無駄に金を使っています。それを絞ったら年寄りを『わや』にしなくても済みます」と言っておられます。
今一人、長野県の諏訪市医師会長さんの話を紹介します。
「敗戦から60余年がたちました。あの時代に青少年期を過ごし経済成長を支えてきた方々が、やっと75歳以上にさしかかっています。ところが75歳以上の医療制度を切り離し、年齢による格差を持ち込もうとしています。長寿社会の形成に寄与してきた国民皆保険制度を崩壊させる制度変更です。医師会も大変懸念しています。医療の質と長寿社会を維持していくのであれば、国がそれなりの代価を支払うのは当然です。高齢者を『金食い虫』扱いするのはおかしいです。」と言っておられます。
以上、お二人の話を紹介しましたが、このほかに厚労省の「後期高齢者医療制度の診療報酬体系の骨子」案には、
・ 検査・投薬の制限
・ 在宅看取りの推進
・ 高齢者に手厚い治療を行う病院を赤字に追い込む包括医療
・ 入院・手術の粗悪化
・ 早期退院の促進
・ かかりつけ医制、 終末期医療制の持込み
つまり、終末期に高額の医療費がかかる、現在在宅死は約2割、これを5割にすれば約5000億円削減できると試算し、厚労省は在宅看取り推進を進めて来ています。
在宅医療・介護の体制が貧弱なまま、ただ医療費を減らすために強引に退院をすすめ、患者や家族に犠牲を転嫁する、これが全ての人に保険で必要な医療を給付するという「国民皆保険」を根底から掘り崩し、更なる医療難民を生み出す差別医療でなくて何でしょう。
この制度は、まず来年4月からの実施を中止すべきです。まだまだ問題点はありますが、もう実施まで3ヶ月と少し、どうか本陳情書を採択して中止・撤回の意見書を上げていただきますようお願いして委員長報告(陳情不採択)への反対討論といたします。