第21回 連句フェスタ宗祇水「古今傳授の巻」     水野 隆・捌


    夏ゆくや古今傳授の跡訪とはな       梅村光明
    朝焼溢るみなかみの空            水野 隆
    白鷺の吉兆羽根に飛び翔ちて        赤坂恒子
    過去現在はフラスコの中           清水遙見
    半月にルチルクォーツ色深め        渡辺多美子
    南蛮船の宴鳴る露               松波幹治
ウ   もろこしに風くる音のさはさはと       杉山寿子
    句行の鐘のこゝちよき耳朶          くのあや
    髭に香焚きこめゆるり参らうぞ        古田 了
    脱がれし沓(くつ)をさがすきぬぎぬ        光明
    秘(ひ)そと聴く君が千夜のものがたり     多美子
    魔法のランプ火屋(ほや)を磨かん     天野收一
    巖窟の牢のすき間に凍てる月        松尾博雄
    イワンの莫迦は納め彌撤(ミサ)へと    伊藤哲子
    絵硝子を透き来る日ざしひとすぢに     古賀幹子
    水のこみちに群るる若鮎           古賀寛哉
    花筏夢のつゞきは袂へと              遙見
    ひいふうみいよシャボン玉とぶ           寿子
二オ 生き難き世を春耕の鍬打つて           了
    青(あお)道心の脛に傷あと             博雄
    神の子の悪戯(わるさ)地球を破壊する      哲子
    ノストラダムス忘れ去られて         高橋眞由美
    百とせの黄金の時計のネヂを巻き         恒子
    戀の裏地は朱(あけ)の天鷲縅(びろうど)     隆
    縞蛇は新派女優の匂ひして             哲子
    咽喉によしとてなま卵飲む              寛哉
    午前九時豪華ナゴヤのモーニング      島田ひろ子
    酒顛童子の秋渇きして                光明
    大杯に月を浮かべて鑓の舞          斎藤佳成
    柞(ははそ)もみぢをモノクロで撮る      佐藤好博
名ウ 山彦に背のさびしき男(おのこ)佇つ      水野五月
    夜寒を包む衣(きぬ)のあれかし        蒲しのぶ
    スカーフをスタンダァルに真似て締め     谷崎信治
    蜂がサンバを踊るその丘            蓑洞美幸
    貝殻のうちの花いろほの燃えて           隆
    かげろふ淡く藤ながく揺れ              寿子

        平成十九年七月二十八日首尾
        
                      於 郡上八幡向山 大乗寺