第二十回 連句フェスタ宗祇水 歌仙
百代の過客の巻 水野 隆一捌
百代の過客と宗祇水涼し 岡本 星女
我が身を染めて一瞬の夏 隆
黒揚羽民藝館の扉に触れて 日高 玲
香合の闇解きはなちやる 武藤千代美
十五夜の月のうさぎの瞳が笑ふ 日下部喜平
風船葛ひとりゆらゆら 伊藤 哲子
ウ 村正の刃が断ちぬ秋の空 赤田玖實子
撥の音高く反らす踊る手 鈴木美奈子
わたつみの神より届く文の数 渡辺多美子
しとゞに枕濡らすきぬぎぬ 竹内 茂翁
旅の町櫺子格子のやや荒びて 福井 直子
酒即是呑 呑即是酔 喜平
くさめして砕けし月を繋がんか 美奈子
寄り添ってゐる凍鴉二羽 清水 遥見
しゃべりつゝ行けば小路の突当り 天野 収一
お地蔵さんに湯氣立つ碗を 若村りえこ
灯りてはけぶるが如き雨の花 尾山 祥子
官吏の群を抜け蜆汁 水野 光哉
囀に似し円空の祷り揺れ 古田 了
つらね聲色つッかへもせず 玖實子
古箪笥梳櫛仕舞はれしまゝ 千代美
お守りがはり秘すあぶな絵 星女
ふるさとは魑魅魍魎が選挙前 収一
時総べる姫絲取りのうた 光哉
夢ひとつ抱きしめをり水中花 蓑洞 美幸
ヘソ出しポーズ未だ見慣れず 中林 速雄
渾身の頭突きいっぱつジダン去る 了
夕のもみぢに刻止りゐて 松本いづみ
獨りごつ月の明るさ50階 古田 憲治
秋刀魚のやうなミサイルを打つ 斎藤 佳成
名ウ 雪近しアイロンかけて赤マント 水野 五月
大原ざこ寝後夜の鐘撞く 哲子
出むかへてくれるわが子のやうな犬 蒲 しのぶ
末裔若草の常縁が直筆 ※(山内家と東常縁) 川上 朝史
水晶の奥は未来の花降りて 隆
春泥の靴濯ぐ巡禮 佐藤 好博
平成十八年七月二十九日 首尾
於 郡上八幡向山 大乗寺