第26回 11/1 『これで、とどめだぁぁぁ!』

スクウェアの経営不振が囁かれている折り、いかがお過ごしでしょうか。今週はその圧倒的な完成度によってプレミアがついてしまった作品、悪魔城ドラキュラX 血の輪廻。シリーズ10作目を記念して世に出された作品です。

主人公のリヒター・ベルモンドを操り、さらわれた婚約者のアネットとその妹のマリアを助け出し、復活を果たしたドラキュラを倒します。全10ステージ中、7面をクリアすればクリアです。シリーズ特有の、硬派な難易度のアクションゲームです。

何よりも演出面は秀でています。陰湿なグラフィックは今作も健在で、CD−ROMの大容量とPCエンジンというハードを味方につけ、一層磨きのかかったものになりました。城内の細部にわたってグラフィックの書き込みが凄く、見るものを圧倒させます。なおかつゲーム中はそれらが目障りに感じることはなく、世界観を深めています。好きなのが背後から迫ってくる巨大なベヒモスで、程よい緊迫感を与えてくれます。

今作より取り入れたアイテムクラッシュのシステムもなかなかのものです。通常のゲームでは特定のボスには特定のアイテムで立ち向かう構図が多かったのですが、ボンバーのように使えることにより、様々な武器で立ち向かう楽しみが出来ました。その上、「次はこの武器で戦いたい」という要求もかなえることが出来て、その実十分に渡り合えることが出来るようになったのはシステム設計のうまさですね。

それと2つのルートを持たせたステージ構成もいい出来です。ただ通過するだけの通常面にきちんとした意味を持たせ、なおかつステージ探しも行わせています。これによって忘れられやすい通常面が記憶に残りやすいものになっています。

そして他の機種では搭載していなかったセーブシステムを利用したことは大いに評価できます。今までのパスワード方式に比べ、気軽にプレイを始められるので、取っ付きが良くなりました。クリアした面を何度もやり直さなければならないことがあるので、その点でもプラスに働いています。それと達成率も加わり、やり込みの心を擽ってくれます。

されに、バックに流れるサウンドがファンのハートをがっちりとつかんでくれます。オープニングのトランシルバ地方で収録したというナレーションから始まり、全編にわたってハードロックの生演奏でゲームが進行していきます。その完成度はただ事ではなく、おそらく現在まで出ているドラキュラシリーズの最高傑作と呼ぶに値するでしょう。個人的に好きなのが3ステージ表の「血の涙」と、5ステージ表の「幽霊船の絵」です。シリーズからのアレンジ曲もあるので、ハードを持っていなくっても曲だけのために買う価値はあるでしょう。

また、おまけのような感じで使えるサブキャラのマリアもいい味を出しています。一見不釣り合いなデザインとその圧倒的な強さがいい意味でゲームバランスを崩しています。リヒターでちまちまと戦っていたのがウソのような爽快さがあります。

しかしこのシリーズに手を出している人なら知っているとは思いますが、例に漏れず難易度はやや高めです。私にはこれくらいがちょうど良いと感じますが、全くの初心者が手をつけていいものかというと考えあぐねてしまいます。しかし操作さえ慣れてしまえば何とかなるとは思いますが。

ちなみに類似品としてスーファミで、悪魔城ドラキュラXXが出ています。こちらはさらに難易度が高く、継続はパスワード式で、マリアも使えません。完全なファン以外にはちょっと薦められないです。



悪魔城ドラキュラX 血の輪廻(製品コード不明)
対応機種はPCエンジン スーパーCD−ROM。1993年10月29日、KONAMIより7800円で発売。


第27回 12/16 『ひっかかった ひっかかった♪』

前回の更新から早1ヶ月以上が経ちました。月日の流れるのは早いもんだと改めて実感する思いであります。今回はあまり知られていない個人的な名作、HYPER MARBLES。

この作品名を聞いて分かる人がいれば、よほどのセガファンの方ですね。この作品というのは、『ゲームのかんづめ VOL.1』というものの中に収録されています。ルールは至極単純で、相手をステージ上からはじき出すだけというルールです。すべての敵をはじき出せばステージクリアです。

やっていて面白いのが、相手をはじき出すという単純な行為自体です。敵と押し合いをするもどかしさや、背後を取って一気に葬り去る爽快感があります。かなり病み付きになり、気がつくと指に力を入れ過ぎて痛くなるほど熱中できます。

ステージ上のトラップもよく出来ています。滑る床、迫り来る壁、大きく弾き返す壁。どれも程よい緊張感を与えると同時に、各ステージを個性的なものへと仕上げています。またそれに対する戦略性も必要となるなど、単純に相手をはじき出すだけの作業に変化をつけさせてくれます。

この作品では、1人プレイよりも2人プレイでやることをお勧めします。ルールは単純で明瞭。弾き飛ばす快感も伴ってムキになってプレイできます。接待用のゲームとしては、これ以上無い面白さを持っています。

ただ、これで更にステージやトラップがもっと豊富だったら申し分ない出来だったのですが・・・。極めるとパターン性が強くなってしまうのも難ですね。



ゲームのかんづめ VOL.1(G−6032)
対応機種はメガCD。1994年3月18日、SEGAより3980円で発売。


第28回 2/18 『単純だけど面白いんよ、この戦闘』

2ヶ月ぶりとなってしまいました。待っていた方、申し訳ありませんでした。今回はファミコン成熟期に登場したムサシの冒険です。

純和風のロールプレイングゲームです。巌流島で倒されたはずの佐々木小次郎が蘇り、妖魔餓次郎と名乗って世界を征服せんとしています。主人公である2代目、宮本ムサシを操って各国を巡りながら野望を阻止します。

この作品で気に入った部分、それは世界観と戦闘部分です。
あくまでも江戸時代の世界観にこだわり、それを貫き通したシナリオは見事でした。セリフの端々やアイテムの名称にいたるまで世界観を盛り上げ、よく練り込んであったように思います。イベントにしても、ゲーム中だというのに、妙なアナログ臭さがかえって味のあるものになっていました。結果それによって、じっくりと世界の中にどっぷりと浸かれることが出来ました。

戦闘部分では、攻撃のあたる確率がやや低めに設定されています。しかし2度攻撃や仲間のたぬきの攻撃によって、見事なまでにバランスが取られています。単純なわりに妙な緊張感があり、最後まで飽きさせることなく引っ張っていってくれます。また、たぬきがランダムで法力を使ってくれる点も、普段使わない鬱憤を晴らしてくれるようで密かに面白さに貢献しています。

しかし序盤におけるレベルアップは経験値のバランスで悪いです。しかし中盤を過ぎると途端にテンポが良くなります。取っ付きの悪さは否めませんが、それを越えたところからは面白さが広がっています。また、レベルアップする度に全回復をしてくれる点も親切設計で安心してプレイできます。

これだけ世界観には十分に配慮して出来上がった作品なのですが、ただ唯一残念な点はありました。とある場所の村人のセリフなのですが、「ながしましげお/いや、ながれついた」というしょーも無いギャグです。世界観に酔いしれてプレイしていただけに、はたと現実に引き戻されて、興醒めしてしまいました。もうすこし配慮したセリフが欲しいものです。



ムサシの冒険(SEI−IC)
対応機種はファミリーコンピュータ。1990年12月22日、シグマ商事より6500円で発売。


第29回 6/13 『次なるアイテムを求めて』

気が付くと冬が終え、春が過ぎて夏になろうかとしております。今回ご登場願うのはTECMOの初期の作品、アルゴスの戦士です。

成長要素のある横スクロール中心のアクションゲームです。獣王ライガーを倒して聖地アルゴールを再び平和な地にすることが目的です。

このゲームでは敵を倒すたびにわずかながら攻撃力が上昇していきます。際限無く出てくる敵でも普通のロールプレイングゲームよりも意義ある戦闘が出来ます。なおかつ、アクションゲーム特有のテンポの良さですから、気分良くプレイできます。

操作感覚も良好です。武器が刺の出るヨーヨーみたいなやつなんですけど、こいつで攻撃すると、爽快感がつきまといます。攻撃動作が速くて、ジャンプも軽快です。不満個所の見当たらないところは流石としか言いようが無いです。

その上、ただのアクションとして終わらせていないところも評価できます。アイテムを探しながらの冒険は楽しめます。その余波か、気が付けばマップ上を探検しまくっており、その印象がいつのまにか心に残っていることでしょう。

アクション部分は軽快ですが、マップ画面のアドベンチャー的な面が少々わずらわしく感じるのが気になります。更にアイテムの中にはうまく動作させにくいものもあるので、その辺の修正だけでも欲しいところです。それと、シナリオらしいシナリオが無いので、世界観に入り込めない人にはちょっときついかな。



アルゴスの戦士(TCF−AH)
対応機種はファミリーコンピュータ。1987年4月17日、TECMOより4980円で発売。


第30回 2/21 『豪華絢爛』

お待たせいたしました。ようやくの第30回です。今回はコナミキャラクター総出演の豪華なゲーム、コナミ ワイワイワールドです。

各ワールドに捉えられているコナミキャラを助け、全員助けたら敵基地に行ってボスを倒すというオーソドックスなアクションゲームです。助けた仲間を駆使して、その場に応じたキャラクターで攻略していきます。

さて、大きな見所といえば、やはりコナミゲームの有名キャラが沢山出てくるところです。今となっては懐かしいですが、ゴエモン、シモン、マイキー、コング、フウマ、さらにはあのモアイまでが出演とかなりのツボをついてくる選択です。キャラクターもオリジナルに近い描きこみをしているので、出演ゲームを遊んだことがあるときと近い感覚でプレイできます。
また、舞台となる各ワールドも元ゲームの雰囲気を大切にしており、プレイ経験のある人ならば、思わずニヤリとします。

アクションゲームとしてはその場に応じたキャラ&武器選択により、戦略性や個性が発揮できて面白いと思います。

ただし、途中交代が自由に許される故、敵の攻撃量や判定が大雑把な傾向にあり、緊張感に欠けるような部分も見うけられます。また、仲間が「体力が減ったときの交換要員」と化しているのが残念なところです。移動スピードをそれぞれ別で設定してあったらもっと戦略的に楽しめるとも思います。

ですが、決してつまらないということではなく、ファンの気持ちを大切にし、各キャラクターの持ち味を再確認させ、ただの寄せ集めに終始しなかった出来には評価できると思います。



コナミ ワイワイワールド(RC825)
対応機種はファミリーコンピュータ。1988年1月14日、KONAMIより5500円で発売。